河北抄

 仙台市青葉区のせんだいメディアテークで昨年秋、仲代達矢さん主演の名作映画『切腹』(1962年)を鑑賞した。邦画の全盛期を支えた35ミリフィルムによる上映会。突然、ブツリと音がしてフィルムが切れ、客席は一時緊迫した。
 映写室にいたのが映写技師の村田怜央(れお)さん(34)。スプライサーと呼ばれる機械でフィルムをつなぎ、十数分ずつに分かれたロールを手際よく交換し、ピンチをしのいだ。
 2004年以降、宮城県利府町の複合型映画館と青葉区の桜井薬局セントラルホール(後の仙台セントラルホール)で働き、上映の技術を学んだ。セントラルは昨年6月閉館し、映写機は廃棄されたため、市内ではメディアテークのフィルム映写機が存在感を増している。
 デジタル化が急速に進む映画界。「フィルムの味わいは捨てがたいし、デジタルに変換されていない旧作は少なくない」と村田さん。『切腹』の上映会を開いた自主上映グループは今年、フィルム映画の継承を目指す上映会を企画中だ。村田さんの出番を待とう。


2019年02月09日土曜日


先頭に戻る