河北抄

 東日本大震災の津波被害を受けた仙台市宮城野区の岡田新浜で再生の象徴とも言える初夏の花、ハマヒルガオが見頃を迎えたという。昭和の歌謡曲全盛期に育った筆者は五木ひろしさんが歌った「浜昼顔」(1974年)を思い出した。
 作詞は寺山修司(弘前市出身)、作曲は古賀政男の異色コンビ。哀愁の古賀メロディーに乗せた歌詞は、1番が<家のない子のする恋は/たとえば瀬戸の赤とんぼ>と寺山が短歌や詩などでも表現した前衛的な言葉で始まり、最後の3番は<浜昼顔よいつまでも/枯れるなぼくの愛の花/愛の花>で終わる。
 この曲は三沢市の寺山修司記念館でイメージ映像とともに常時響いている。館長の佐々木英明さん(70)は「寺山さんらしい歌詞」とうなずき、寺山のメッセージ「100年たてばその意味わかる」について「寺山さんを知るわれわれがいなくなれば言葉だけが残る」と言う。
 寺山没後36年。100年までは64年もある。記念館裏の小川原湖を望む森の小道を散策し、標柱や碑に刻まれた寺山の言葉を鑑賞するのに良い季節になった。

 

 


2019年06月06日木曜日


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