河北抄

 カレンダーを見たら、あす11日は「入梅」だと記されている。これは、いわゆる雑節の一つで、太陽の位置が黄経80度になる日とされる。
 仙台を含む東北南部は暦の入梅よりちょっと早く、先週7日に梅雨入りした。「うっとうしい季節」「洗濯物が乾かない」と嫌がる向きもあるが、梅雨の時季はなかなかいい。
 雨が降れば、おのずと周囲がしっとり落ち着き、静かな環境や心境になる。本でも読もうか、という気持ちになる。この休日、JR仙台駅東口近くにできた古本屋「あらえみし」に足を運んだ。
 本を探していたら、店の一角に「晴読雨読」と墨書された色紙。開店祝いにと作家京極夏彦さんから贈られたという。「晴耕雨読のような悠々自適な生活じゃないけれど、仕事柄、晴れでも雨でも本を読む日々です」。出版業も担う店主の土方正志さん(56)が言う。
 耕すのは土に限らない。固くなってしまった心こそ、梅雨時ぐらい、本を読んで柔らかくしたい。たっぷり栄養を補給できそうな本を選び、店を後にした。


2019年06月10日月曜日


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