河北抄

 「貞山堀より愛をこめて」のタイトルに引かれて、仙台市の地下鉄東西線荒井駅にある「せんだい3.11メモリアル交流館」を訪ねた。
 仙台の海浜を南北に貫く貞山堀は、藩制期から明治期にかけて造られた。日本で最も長い運河で知られる。企画展では、大きな壁面マップや海沿いの暮らしを伝える動画などを楽しめる。
 副題は「震災から8年後のふるさと」。かつての風景を取り戻そうとする人々をインタビュー映像で紹介している。震災遺構・荒浜小スタッフの高山智行さん(36)は昨年8月、荒浜の風物詩だった夜の灯籠流しを仲間とよみがえらせた。
 「ここを離れた住民が懐かしんで帰ってきてくれるのではないか。長く続いた風習を途切れさせるのは惜しい。その思いをすくい取りたかった」。語り口は静かでも、熱い気持ちが伝わる。
 その復活の夜、予想を上回る200個の灯籠が集まり、光の列が水面(みなも)を照らした。昔のにぎわい復活を待っている人は少なくない。ことしも17日の夜に荒浜・深沼橋で行われる。


2019年08月03日土曜日


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