河北抄

 変なうなり声を上げていたエアコンの室外機がついに動かなくなった。修理を頼むと「買い替えがいいと思います」ときっぱりとしたアドバイス。それで、炎天下を家電量販店まで出掛けた。
 「在庫はありますが、取り付けは混んでいて9月上旬です」。そう言われてがっくり。まあ、それでも仕方がない。この分だと残暑も厳しいだろうと思い、買い替えを決めてきた。
 仕方なく扇風機も買った。カタログによると、自然の風を再現するような設計だそうで、そう言われると、そんな気もしてくるから不思議だ。窓を開け放って扇風機というまるで昭和の暮らし。
 コオロギやキリギリスだろう。夜、気がつくと、雑草だらけの狭い庭で、虫の鳴き声がうるさい。まだこんなに暑いのに、早くも秋の虫の出番だ。
 「夏果てて秋の来るにはあらず 春はやがて夏の気を催し 夏より既に秋は通ひ…」。兼好法師の『徒然草』にこんな一節があった。蒸し暑い夜気にわずかながら、初秋の気配。エアコンの故障のおかげで、かすかな秋を見つけた。


2019年08月13日火曜日


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