河北抄

 ちょうど1年前となる。昨年12月3日未明、仙台市太白区秋保町で住宅から出火し、2棟が全焼する火災があった。もらい火で焼失したのが、村岡哲さん(40)=青葉区愛子東=が営む手作りソーセージ工房だった。
 村岡さんは食品学科で学んでいた大学時代、実習でソーセージ作りに興味を持つ。卒業後、首都圏のソーセージ製造工場などで働いた。「でも、工場ではお客さんの顔が見えません」
 自分の工房を持ちたい−。仙台にUターンして2016年夏、小さな店を秋保の温泉街に開いた。春はフキノトウ、冬はユズを使うなど、季節を感じさせるソーセージを提供。「3年目に入り、軌道に乗り始めた頃の火事でした」
 途方に暮れていたとき、秋保の人々が空き店舗を探してくれた。常連客らの支援もあり、先月、新たな場所で再出発した。「多くの人に支えられました」
 秋保がいま面白い。秋保で醸造された今年産ワインの販売も始まった。地元のワインとソーセージを買い求め、自宅で味わう。週末の楽しみができた。


2019年12月03日火曜日


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