河北抄

 暮れに出た吉川弘文館の『モノのはじまりを知る事典』をパラパラと繰っていたら、お酒の項目を見つけた。邪馬台国の記述で有名な『魏志』倭人伝に、酒に関する記載があるという解説。
 倭人伝の原文をネットで探して読んでみると、あった、あった。いいですか、漢字でこう書いてある。「喪主哭泣 他人就歌舞飲酒」「父子男女無別 人性嗜酒」。漢字ばかりで難解だけれど…。
 恐らく、次のような意味だ。最初のほうは「葬式に来た人は歌い踊って酒を飲む」、次のは「親子男女の別なし、酒をたしなむ」。なんと卑弥呼の時代からご先祖さまは、歌舞飲酒、人性嗜酒。
 実にまあ、簡にして要を得た、しかも酒飲みの自己弁護に便利に使えるうれしい表現だろう。ところで『魏志』は紀元2〜3世紀の歴史を書いた書物。その頃の酒って、一体、どんな味だった?
 穀物や芋類を歯でかんで吐き出して発酵させる「口噛(くちかみ)み酒」のようなものだったんだろうか。疑問は次々。この種の答えが難しい宿題は、一杯やりながら想像してみるに限る。では、また今夜も。


2020年01月14日火曜日


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