河北抄

 「チャットを開いてみてください。皆さん回答できますか?」「あれ、応答ゼロだな…。もう1回やってみましょう」
 隣室から初老と思われる男性の声が聞こえる。新型コロナウイルス対策のためキャンパスを封鎖した代わりに大学が始めたオンライン授業を、大型連休中、子どもが自室で受けていた。途中、何度か講義が中断する。どうやら講師は情報通信技術に不慣れな様子。対面であれば何ともない設問のやりとりに四苦八苦していて、身につまされる思いがした。
 講師と同様、ITに疎いが、県外に住む家族の手ほどきを受け、遅まきながらテレビ会議アプリを使ったグループ通話を楽しんだ。政府が連休中、推奨したオンライン帰省とやらである。
 オンライン授業やビデオ通話は災害発生の際、有効な通信手段になる。ただしそれは、通信環境と使いこなす知識がそろえばの話。道具も、教える人もなければデジタル格差が広がり、IT弱者を生む。いま通学できない児童、生徒に均等な機会を保障することは教育の喫緊の課題だ。当然、非常時への備えにもなる。


2020年05月07日木曜日


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