河北抄

 「八っつぁん」や「熊さん」が住む長屋の世界に引き込まれた。今月1日に2カ月半ぶりに再開した仙台市青葉区の常設寄席「魅知国(みちのく)定席(じょうせき) 花座」。アクリル板越しながらも噺(はなし)家の熱演を楽しんだ。
 「ステイホームで料理が上達した」。ある日の冒頭のまくらは、もちろん新型コロナウイルス絡み。「世界中大変です」と口調は軽いが、演じる場がなくなった戸惑いと経済的大変さが感じ取れた。
 演目の「あくび指南」は、あくびの仕方の稽古を付けてもらう古典落語。師匠と熊さんのやりとりを見ていた連れの八五郎があきれてあくびするのが、話の落ち。浮世離れした話にコロナを忘れた。
 再開に当たり、花座は席数を減らすなど感染防止対策に取り組む。その一つが客のマスク着用。滑稽話を聞く客も、演じる側も「いずいなあ」と感じるだろうが、生で味わうためには仕方ない。
 江戸時代から続く落語は根強い人気がある。ファン層は広がっているという。笑うことは免疫力アップにつながるとされる。しゃれにならない現実だが、たまには落語の世界で笑うのはいかが。


2020年06月30日火曜日


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