河北抄

 ことしのノーベル賞は、日本人の受賞者なしで終わった。候補とされる方々は毎年、気になるだろう。
 受賞インタビューを拾うと、個性をくみ取れて面白い。圧巻なのは、「大してうれしくない」と言い放った量子力学の益川敏英さん(2008年、物理学)。一方的に電話をかけてきて「あなたに決まりました、とは失礼だ」と怒った。
 iPS細胞の山中伸弥さん(12年、医学生理学)は若い外科医のころ、手術下手だった。「邪魔だからジャマナカと呼ばれました」
 がん免疫治療の本庶佑(ほんじょ・たすく)さん(18年、同)は、子どもたちに「教科書に書いてあることを信じるな。疑ってかかれ」。翌年の化学賞、リチウムイオン電池の吉野彰さんは「頭の柔らかさと、真逆の執着心。しつこく諦めない」と語った。
 失礼ながら、変わり者の部類かも。だからこそ、他人の気付かない原石を見つけた。日本学術会議の人事に政府が介入したのは、言うことを聞くお利口さんを集めたかったからか。はなからお門違いというものですよ。


2020年10月16日金曜日


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