河北春秋

 東北勢はなぜ甲子園で優勝できないか? そんなテーマを検証しようと、38年前、仙台市の出版社が『深紅の大優勝旗が白河の関を越えるとき』という本を出した。東北の野球人、プロ野球、政財界関係者ら約160人に取材。多くが「東北勢は5年で優勝できる」と答えた▼その中で1971年夏に準優勝した福島・磐城の投手を務めた田村隆寿さんの談話がある。桐蔭学園(神奈川)に唯一の失投を痛打され、0−1で惜敗した決勝を振り返り、「1球で負けたのではない。その前の過程にそれなりのことがあって狙い球を絞られた」と敗因を分析した▼東北悲願の全国制覇に挑んだ秋田・金足農の敗因は何だったか。大阪桐蔭(北大阪)との決勝。秋田大会から1人で投げ抜いてきた大黒柱の吉田輝星投手が力尽き、大敗を喫した。吉田投手に連投の疲れさえなければと悔やまれる▼それでも、数々の劇的なドラマを生んだ「雑草軍団」の勇姿は全国のファンの心をつかんだ。ユニホームを泥だらけにし、最後まで粘り強く戦う。まさに東北らしいチームだった▼深紅の大優勝旗の「白河の関越え」はまたもお預けになった。しかし金足農の躍進は東北の高校野球界に希望と勇気を与えた。楽しみは来年以降に取っておこう。チャンスはきっと訪れる。(2018.8.22)


2018年08月22日水曜日


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