河北春秋

 演出家の宮本亜門さんは高校時代、上下グレーの服装をした。「価値のない人は目立ってはいけない」との思いがあったからだ。人間関係に悩み、自殺を試み、不登校になった▼1年間引きこもったが、精神科医に丁寧に話を聞いてもらい、自分を取り戻した。「引きこもった経験は僕にとっての勲章。音楽を聴き、本を読み、泣きまくり、感動しまくったあの引きこもりは必要不可欠だった」と振り返る(『宮本亜門のバタアシ人生』)▼東北では週明けから授業を再開する小中学校が多い。心配なのは夏休み明けに学校に行きづらいと感じる子どもが少なくないこと。内閣府が3年前に発表した過去42年のデータでは、18歳以下の子どもが自殺した日は夏休み明けの初日が突出して多い▼子どもの自殺を防ごうと、不登校の子と親らが交流する催しが全国約100カ所で一斉にあった。不登校の子の割合が全国一の宮城では約50人が参加。企画した女性は「学校に行けないぐらいで死ぬ必要はない。選択肢はいくらでもある。自分らしく生きることが大切」と語った▼宮本さんは著書にこう記した。「楽しいだけの一生もなければ、つらいだけの一生もない。同じ状態は続かない。1回限りの人生を楽しもう」。メッセージが子どもたちに届くといい。(2018.8.26)


2018年08月26日日曜日


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