河北春秋

 煙を上げる桜島が「インスタ映え」するとの計算も働いたのだろうか。安倍晋三首相が自民党総裁選への立候補を表明する舞台に選んだのは鹿児島県(薩摩)。首相の地元、山口県(長州)との「薩長同盟」が明治維新の契機となったことにちなんだらしい▼「薩摩と長州で力を合わせ、新たな時代を切り開きたい」と首相。薩長を中心にした新政府軍に一方的に攻め入られ、悲劇に見舞われた東北では、今年が明治維新150年というより、戊辰戦争150年との意識が根強い。明治維新を美化する発言に違和感を持つ人が少なくない▼首相は東日本大震災後にあった5回の国政選挙のうち4回、福島県で第一声に臨み、残り1回も公示日に遊説に訪れた。ただ、首相が福島の復興に取り組む姿勢を積極的にアピールする割には、復興が進んでいないと感じる被災者が多いのが実情だ▼大事なのは具体的に何をするか。森友、加計問題で首相は「丁寧に説明する」と言葉では謙虚な姿勢を示したが、解決に向け具体的行動は取っていない。これでは疑惑は払拭(ふっしょく)されない▼東北の復興に何が大切か。首相との一騎打ちが濃厚の石破茂元幹事長も具体的な青写真を示してほしい。一国の首相を決める総裁選が単なるパフォーマンスの応酬になってはならない。(2018.8.28) 


2018年08月28日火曜日


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