河北春秋

 30カ国で展覧会を開き、世界の70以上の美術館に作品が収蔵されている現代美術家宮島達男さん(61)=東北芸術工科大客員教授=。東日本大震災の被災地で取り組む作品がある。プールにLEDの数字が点滅する装置を多数浮かべた『時の海−東北』だ▼数字は9から1までカウントダウンを繰り返す。数字が点滅する時間は「生」、暗闇になる0の時間は「死」。生死を繰り返す仏教の輪廻(りんね)転生、震災犠牲者の「永遠の命の光」を表現した▼昨年、牡鹿半島であった「リボーンアート・フェスティバル」でLED装置300個を使って展示。最終的に3000個にし、太平洋を望む場所に設置する計画だ。LED一個一個のカウントダウンの速度を設定するのは被災者ら。先日、仙台市で好きな数字を選んで速度を設定する催しがあった▼震災後、宮島さんは石巻市で泥かきのボランティアをした。この時、印象に残ったのが海を恨む人がいないこと。鎮魂し、記憶を伝え、未来へ希望をつなげるため海に思いをはせた作品を作ろうと決意した▼10月に東京・森美術館で始まる「カタストロフと美術のちから展」に出品し制作資金を募る。「東北が今どんな状況か見てもらう契機にしたい」。世界の人々に呼び掛け、「東北応援団」をつくるつもりだ。(2018.8.31)

 
 


2018年08月31日金曜日


先頭に戻る