河北春秋

 立場の違いで歴史の捉え方は変わる。幕末の会津藩など東北(東軍)にとって、ことしは戊辰戦争150年。交戦した長州(山口県)と薩摩藩(鹿児島県)中心の新政府軍(西軍)からみれば、明治維新150年となる▼会津と長州。両者の「和解」は戦後の節目のたびに注目された。30年前には山口県萩市が会津若松市に姉妹都市締結を持ちかけたが、会津側が断った。近年は敗者の歴史に光が当たっているだけに、会津での和解ムードは低調だ▼「行政レベルではもう実現しないと思う」。萩市の医師山本貞寿さん(79)は、奥会津・柳津町で講演し、両市の公式な友好関係構築は難しいと述べた。長州と会津の友好を考える会代表。50回以上も会津を訪ね、会津人と対話し、会津の歴史を学び、両市の関係改善に腐心してきた▼「民間交流こそ大事」と強調する山本さんは2004年、会津の医師と協力し、萩市の図書館に会津コーナーを開設した。今年8月には白虎隊記念館理事長で元会津若松市長の早川広中さん(83)との共著「戊辰明治150年 会津人と長州人かく語りき」を出版した▼その中で早川さんも、双方の歴史をもう一度、冷静に見ることを提唱する。自らの誇りを大事にしつつ、相手を理解する。「憎しみ」だけでは前へ進めない。(2018.10.1) 

 


2018年10月01日月曜日


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