河北春秋

 速すぎて見えない「アニメのような球」という相手選手の談話を読んだ。今月初めにあった福井国体の硬式野球準々決勝。金足農業高(秋田)3年の吉田輝星(こうせい)投手(17)が自慢の速球で自己最速の152キロを記録し、11三振を奪ったニュースに安堵(あんど)した▼この夏の甲子園大会で母校を準優勝に導き、地元をはじめ東北中を沸かせた。心配だったのは、6試合で計881球を投じた肩。その後の国際試合では不調だった。が、若さの力か、「ぐんと伸びてホップする」と評される快速球は見事によみがえった▼「自分もプロの世界で勝負したい」。10日、吉田投手は母校で会見し、卒業後の志望を表明した。当初は大学進学を予定したが、甲子園など大舞台の経験が夢を広げたという。プロの注目も集める。ドラフト会議を前に、多くの球団が1位指名候補に挙げる▼会見に臨んだ若者のりりしい顔があの三沢高(青森)のエース、太田幸司さんに似ていた。49年前の夏の甲子園でやはり決勝まで1人で投げ抜いた。66歳になった今年の決勝戦で、吉田投手の前で始球式を務めた▼東北の雑草魂を受け継ぎ、たくましく完投する後輩に「自分を重ねて見ている」と感慨を語り、将来を期待した。胸のすくような活躍で名の通り、プロ野球の輝く星になってほしい。(2018.10.12) 


2018年10月12日金曜日


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