河北春秋

 学生は肺を病み、借金に苦しみ、重い気分で街を歩いていた。ふと、レモンの美しさに引かれ、買い求める。それを本屋の本棚に置いて店を出た。10分後に大爆発をすることを夢想しながら…。梶井基次郎の小説『檸檬(れもん)』である▼レモンが爆発するとは誰も思わない。小説だから許される空想の世界である。しかし、想像を絶する爆発が現実に起きた。札幌市豊平区で発生し、負傷者42人を出した事故である▼不動産会社の従業員が消臭スプレー缶120本の廃棄処理後、湯沸かし器をつけた際に爆発した。室内に充満したガスに引火したとみられるが、驚くのは被害のすさまじさ。木造2階のビルは跡形もなく、木っ端みじん。爆風は100メートル先にも及び、多くの建物に被害が出た▼不幸中の幸いは死者がいなかったこと。建物の炎上は爆発の10分後で避難の時間があった。さらに2階の床が抜け落ちたことではしごが不要になり、素早く救助されたという▼スプレー缶による火災は全国で相次ぎ、死者もいる。噴射直後は火を近づけないなどの注意が欠かせない。廃棄方法は自治体によってまちまち。捨てる場合は使い切るか、風通しの良い屋外で完全にガスを抜くことが大事。皆さんの身の回りにある生活用品でもある。今回の事故を教訓にご注意を。(2018.12.19) 


2018年12月19日水曜日


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