河北春秋

 漁師になる。宮城県南三陸町志津川中の卒業を前にした今春、須基友二(すもとゆうじ)さん(16)は決意した。「勉強は大嫌い。中途半端な気持ちで高校に行っても、中退して親に迷惑を掛ける。稼ぐ」。海の街。自然と漁師を選んだ。県北部船主協会(気仙沼市)によると、中学を出たての船員は今では珍しい▼4月から地元の近海マグロはえ縄船「第31幸栄丸」に乗る。日本近海でクロマグロのほか、メカジキ、ヨシキリザメを取る。1回の航海は約30日、休みは3日。初航海は「とにかく眠かった」という。寝る間も惜しんで続く投網作業が特につらかった▼意地がある。「仕事ができないやつと思われたくない」。縄が絡むなどのトラブルが起きると、ベテラン漁師は瞬時に対処する。何もできない自分は目を凝らし、技を盗む。将来は海技士の資格を取り、船長を目指す。家も建てたい▼今月、高校2年の姉(17)が修学旅行へ行った。ちょっぴり、うらやましい。だが「同年代の誰よりもお金の価値を知っている」と胸を張る。そんな次男を母美樹さん(39)は頼もしく思う▼クリスマスは海の上だ。給料の4割は家に入れているが、「戻ったら母に服でも買おうかな」と計画している。美樹さんの願いは一つ。「けがをせず元気で帰ること」。ケーキを用意して待つ。(2018.12.24)


2018年12月24日月曜日


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