河北春秋

 平成31年が明けた。平成の世は4月30日まで。天皇陛下がその日で退位され、5月1日に皇太子さまが新天皇となられるのに伴い、新しい元号になる。わが身を振り返り、今の時代に何かやり残していることはないか、と考える元旦を迎えた▼胸にあるのは、準備が進む東京オリンピックへの関心でも、昨年末の株安で不安が広がった景気の行方でもない。新春の歌やお笑いがうつろに響くのも、復興が遅れた東北の被災地を思うから▼東日本大震災の津波で壊滅した気仙沼市鹿折は、区画整理が終わり、商店や家が再び建ち始めた。再開して3年目になる酒店の女性主人は「住む人や客も変わり、新しい土地のよう」と言う。今春に創業100年を祝うが、古里の明日はまだ見えない▼「原発事故復興祈願」。1年前、福島県飯舘村に帰還した農家は、こう刻んだ地蔵を自宅に建立した。風評のため稲作を諦め、以前手掛けたハウスの花作りを始めた。集落の田園に緑は戻らず、夜の明かりもまばら。「開拓者だった先祖の昔に戻った」▼平成は大災害の時代と記録されるのか。時の変わり目が世間の忘却を進め、東北の被災地が歴史のページに置き去りにされるのなら、あらがわねばならない。「何も終わっていない」という人々の声を伝え続けたい。(2019.1.1)


2019年01月01日火曜日


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