河北春秋

 無の状態からビッグバンという大爆発が起き、宇宙ができたとされるのが138億年前。それより長い160億年に1秒しかずれない夢の時計。ノーベル物理学賞候補の香取秀俊東大教授が発明した「光格子時計」である▼現在の1秒はセシウムという原子が約92億回振動する時間と定義されている。香取教授の時計はストロンチウム原子を利用。セシウム原子時計より精度を格段に高めた。将来的に新しい1秒の定義に使われる可能性を秘める▼原子時計と同じく、こちらも原子が基準になる。重さの単位キログラムの定義が5月に変更される。改定は130年ぶり。新ルールでは、物理学の「プランク定数」を用いて原子1個の重さから1キロを定める▼現在の基準はフランスにある1キロの金属製分銅で、わずかな汚れや傷で重さが変わる恐れがあった。新定義には産業技術総合研究所(茨城県つくば市)が貢献。1キロの重さはこれまでと全く変わらず、体重が増減する心配はない▼原子時計の開発によって自動車のナビゲーションシステムなどが生まれた。香取教授の光格子時計ならば、宇宙船のナビも可能という。新しい重さの基準はナノテクノロジーの分野への応用が期待される。宇宙の果てから極小の世界まで。科学のロマンがどんどん広がる。(2019.1.3)


2019年01月03日木曜日


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