河北春秋

 国際大会で最高賞を獲得し、東京で工房を開いている宮城県柴田町出身の靴職人三沢則行さん(38)。昨年12月に革靴の本場、ロンドンで個展を開いた▼おととしのニューヨークに続いての開催。さびさせた革を使ったウイングチップや革の廃材を使ったオブジェが、その技術の確かさとともにロンドンっ子の目を引いた▼革靴をオーダーメードで製造する傍ら、靴をモチーフにアート作品を発表し続ける三沢さん。この道に入ったきっかけは、東北学院大に在学中、仙台市の高級靴店で英国製の靴と出会ったことだった。「衝撃的に格好良かった」と振り返る▼ロンドンの個展に、その靴店の店主小野和彦さん(53)の妻あかねさん(52)が手伝いに来てくれた。「来場者が楽しそうだった。その場にいられてうれしかった」とあかねさん。和彦さんも「靴作りで一人前になるのは大変。もう私の理解を超えている」と三沢さんを仰ぎ見る▼「鑑賞する靴」「革ではない素材を使う靴」。三沢さんの着想は広がるが、オーストリアのウィーンでも修業した一職人であることを忘れない。ロンドンでも先輩職人の苦労話に触れ、歴史の重さを感じ、刺激を受けた。仙台から始まった、都市と人を結びながら紡がれる三沢さんの「靴物語」は、これからも続く。(2019.1.7)


2019年01月07日月曜日


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