河北春秋

 さりげない所作が格好良かった。先日、会津若松市のある居酒屋でのこと。誘ってくれた男性は日本酒を注文すると、「私はこれで」と、腰のベルトにつるした巾着から何やら取り出した。「ぐい飲み」だ▼地元の伝統工芸品「会津塗」で、粋な人だなあと感心した。巾着も伝統の「会津木綿」だと聞き、その晩の飲み比べは大いに盛り上がった▼福島県は昨年、全国新酒鑑評会で19銘柄が金賞を受賞。都道府県別金賞受賞数6年連続日本一に輝いた。半数以上が会津地方の酒だ。会津の居酒屋には地元の酒がずらりと並び、外から訪れる人は「どの店もレベルが高い」と驚く。予約なしでは入れない店も少なくない▼とはいえ、会津でも増える訪日外国人客には敷居がまだ高いようだ。市の調査では、JR会津若松駅前のホテルに宿泊する外国人客の4割が食事をコンビニ弁当などで済ませる。会津らしい「巾着入りマイぐい飲み」を持って夜の街へ−。そんな活用は外国人はもとより広く夜の街活性化のツールにならないだろうか▼自分も欲しくなり、市内の漆器店で手に入れた。腰にぶら下げて夜出掛ける。様にならないのを棚に上げて居酒屋で酔った帰り際、「もう一軒行くなら洗ってあげるわよ」とママさん。気分は上々。足取りも軽くなる。(2019.2.25)


2019年02月25日月曜日


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