河北春秋

 日本発の「殺傷能力ゼロ」の新型兵器が、大戦が勃発しそうな国際情勢を変えていく−。大崎市鳴子温泉川渡で喫茶店を開く、こけし雑貨販売の「カガモク」が制作した絵本「第三次(大惨事?)こけし大戦」のストーリーだ▼舞台は、再び他国と戦争を始めた日本。人口減の中での戦争突入で若者が兵隊に取られ、人手不足から軍需工場にこけしたちが配属されたことから物語は始まる。こけしたちは、こけし製造技術を生かして次々と兵器を改造。この改造兵器が敵の戦闘能力を低下させ、劣勢を感じ取った敵国が日本の首相官邸めがけ最終兵器を放つ…▼物語の結末は本に預けるが、メインストーリーに絡んでこない兵器も魅力的だ。非原子力潜水艦は、こけしを作る足踏みろくろが原動力の環境配慮型で、偵察機はこけし顔であいきょうたっぷりだ▼今、安全保障上のリスクを理由に特定企業のスマートフォンなどを調達先から排除する国が相次ぐ。私たちはそんな製品によって「偵察」「攻撃」されかねないような時代を迎えている▼木地玩具のこけしは、そうした世界から最も遠いところにあるが、工人の工夫や木のぬくもりが直接人に伝わる。それをめでることができるような「心」こそが、平和を導く最大の武器なのかもしれない。(2019.3.3)


2019年03月03日日曜日


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