河北春秋

 伝説の照夜姫(てるよひめ)が姿見をしたという水面に、春風がしわをつくる。ここは大崎市古川にある化女沼(けじょぬま)のほとり。ソメイヨシノのつぼみが膨らみ、開花近しを告げている。「化女沼2000本桜の会」主催の観桜会が20日に開かれる▼「ヤマザクラ、シダレザクラ、ヤエザクラ。いろんな桜が5月の上旬まで楽しめます」と、「桜の会」の佐々木哲朗会長(66)がほほ笑む。市民の手で化女沼畔に桜の苗を植え続け、その数3千本に迫る。環境美化の功績が認められ、2016年に環境大臣表彰と国土交通大臣表彰を受けた▼一帯には、桜を植える余地がまだありそうに見える。でも、化女沼は水鳥の保護を目的とするラムサール条約の登録湿地。見苦しいやぶでも、むやみに切り開くことは許されない。「来年は植樹を始めて20年。節目に植樹する場所を残しておきたいんです」▼桜の数を増やすのはそろそろ終わり。てんぐ巣病の予防、害虫の駆除など地味な活動が今後も続く。車いすでも花の下をくぐれる遊歩道の整備や、韓国式トレッキングコース「オルレ」の設定は会の宿願だ▼未来の人に花の名所を贈るために始めた取り組み。化女沼が広く認知されるには、時間と労力がまだまだ必要。「それにつけ、若い人が参加してくれれば」。佐々木さんは願う。(2019.4.14)


2019年04月14日日曜日


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