河北春秋

 父の命日の7月、岩手の実家近くにある地域の共同墓地にお参りに出掛けたら、父の近くの墓所にあった墓石が取り払われていた。150区画ほどあるが、墓石がなくなったのを見たのは初めてである▼荒れていた記憶はないから、継承者や管理する人がいなくなる「無縁墓」になったとは考えにくい。自らの意思で墓を撤去する「墓じまい」をしたのだろうか▼先祖代々の墓を守りたい気持ちはあるが、遠方に住む子や孫に負担をかけたくないと、墓じまいを考える高齢者が増えている。墓を処分した後、遺骨は子どもらが通いやすい場所へ「改葬」したり、寺院や霊園が管理と供養をする永代供養墓や公営の合葬墓に移したりする▼自治体が手掛ける合葬墓に希望者が殺到している。費用が安く抑えられる上に、自治体が関わるという安心感があるためらしい。2018年度に利用を始めた秋田市では、市が10年分と見込んだ1500人分が初年度で上限に達した。ほとんどが自身のための生前予約で、改葬は2割にも満たなかったという▼樹木葬や海洋散骨、遺骨を身近に置く手元供養など、葬送の形式は多様化している。さて、自分はどう供養されたいか。子どもたちはどう考えているのか。お盆である。話し合ってみるいい機会かもしれない。(2019.8.14) 

 


2019年08月14日水曜日


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