河北春秋

 大手週刊誌が「韓国なんて要らない」とする過激な特集を組むほど日韓関係がとげとげしい。外交問題で政府は韓国に主張すべきは主張してもらうとして、両国の交流を断つ議論にくみしない冷静さは持ちたい▼宮城県の北部、栗原市若柳の大林寺で毎年、日韓2人の合同法要が営まれている。初代韓国統監の伊藤博文を射殺し死刑となった韓国の独立運動家安重根と、その看守だった千葉十七。寺は千葉の菩提(ぼだい)寺である▼千葉は安の人格と見識に敬意を抱いて心を通わせ、安から書を贈られた。故郷に持ち帰って安の冥福を祈り、両国の友好を願う日々を送ったという▼遺墨は千葉の遺族が保管していたが、1979年に韓国へ返還され、広く知られるようになった。法要は81年、遺墨を刻んだ顕彰碑が寺に建ったのがきっかけで始まった。22日には両国から約130人が参列した▼夏休みになると、両国から高校生も研修に来る。96年に訪れた韓国の女生徒、李世永さんは「敵対した国の人間同士が友情を感じていたのに驚き、素晴らしいことだと思った」と話してくれた。今は社会の中堅を担う世代となっているはずだ。日韓の橋渡し役を果たしてくれているだろうか。宮城でまかれた友好の種が、両国で育っていることを願わずにはいられない。(2019.9.25)


2019年09月25日水曜日


先頭に戻る