河北春秋

 「相手は日本をなめて油断していた。次はさらなる努力が必要だ」。ラグビーの元日本代表監督の平尾誠二さんは2015年ワールドカップ(W杯)で、日本が優勝2度を誇る南アフリカを破った試合をこう評した▼がんで闘病中だった平尾さんは翌年の10月20日、53歳の若さで亡くなった。くしくも命日に行われたW杯日本大会準々決勝で、日本は南アフリカに敗れて快進撃が終わった。南アフリカは体格差を生かし、ひたすら突進と防御を繰り返した。日本の実力を認め、しゃにむに勝ちを求める姿勢が見て取れた▼日本は1次リーグでアイルランド、スコットランドといった欧州の強豪を破り、無敗で初のベスト8進出を果たした。間違いなく前回より進化したが、世界の壁はまだ厚いということだろう▼大会前、国内のラグビーへの関心は決して高くはなかった。日本の粘り強い戦いぶりに心を揺さぶられたのだろう。競技に詳しくない「にわかファン」が急増し、熱気は日を追うごとに高くなっていった▼平尾さんは前回大会の後、「今の盛り上がりを一過性にせず、うまく引き継いでいくことが大事」と語っていたが、ブームは続かなかった。平尾さんの「遺言」を今度こそ生かし、人気をどう定着させるか。ラグビー関係者の知恵が問われる。(2019.10.22) 


2019年10月22日火曜日


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