河北春秋

 秋田の漁業と食文化は県魚のハタハタ抜きに語れない。民謡の秋田音頭の〓秋田名物八森ハタハタ 男鹿で男鹿ブリコ−と言葉を紡ぐ歌詞も有名だ。ブリコは直径3ミリ程度のハタハタの卵が、ゴルフボール状にくっついた塊を意味する▼漁の歴史は波乱に富む。漁獲量は1950年代に急増しピークの66年は2万トンを超えた。70年代後半から一転して激減。91年には100トンも割り込み71トンに減ってしまう▼危機を感じた関係者は92年、3年間の全面禁漁に踏み切った。実践は「資源管理の優等生」とも評される。解禁後はハタハタ資源対策協議会を毎年開き、見込まれる資源量などから漁獲可能量を決めている▼2004年には2500トンの漁獲枠を設定し3055トンの漁獲量を得るまでに回復したが、10年ごろからまた減少に転じた。ここ3年ほどは1000トンを下回る水準にとどまり、悩ましい。10月末にあった対策協議会は今季の漁獲枠を650トンとした▼ハタハタは「〓」や「鰰」と書き、雷神を思わせる。12月初めごろに雷が鳴って海がしけると接岸し、そうした中で行われる沿岸の季節ハタハタ漁は秋田の風物詩だ。沖合での漁と併せ、再び安定的に上向く日が来ることを信じ、今は耐えて待つ時期なのだろうか。長く地道な模索が続く。(2019.11.8)

(注)1つ目〓は庵点(いおりてん)、歌記号。2つ目〓は魚へんに雷。


2019年11月08日金曜日


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