河北春秋

 敵対的な買収を仕掛けられた企業が窮地に陥る。そこへ助けが現れる。ホワイトナイト(白馬の騎士)と呼ぶのだそうだ。生き馬の目を抜く経済界に似合わない、おとぎ話に出てくる命名である▼ニッポン放送の経営権を巡り2005年、フジテレビジョンとライブドアが繰り広げた株の争奪戦で注目を集めた。騎士の名は総合金融サービスのソフトバンク・インベストメント(現SBIホールディングス)。フジがライブドアの買収攻勢をかわすのに貢献した▼今度は地方銀行に手を差し伸べるのだという。福島銀行と資本業務提携し、約11億円の出資で筆頭株主になる。幅広い金融商品や、金融とIT(情報技術)を融合させたサービスを提供し収益力向上を助ける▼地銀との提携は島根銀行に続いて2行目。地方の人口減少が続き、日銀の超低金利政策で利ざやも縮小する。地銀はどこも経営が苦しい。SBIは全国の地銀と手を結ぶ「第4のメガバンク構想」を掲げる▼地銀は地域経済を下支えしている。SBIが白馬の騎士なら歓迎だ。ただ、騎士も慈善事業ではない。これまで取り込めなかった地方の顧客に狙いがある。「いいとこ取り」されないか心配も募る。白馬の騎士はおとぎ話の中にしかいなかった、なんてことになりませんように。(2019.11.13)


2019年11月13日水曜日


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