河北春秋

 徴税する側は増税の目的をいつも甘い言葉で説明する。消費税10%への引き上げは増税分を全世代型社会保障に活用する、と国は明言した。新年度予算の中身はよほど目を凝らして見なければなるまい▼訪日外国人旅行者(インバウンド)らを取り込む観光振興に使うのだそうだ。宮城県が県内のホテルや旅館の宿泊客に宿泊税を導入する見通しとなった。1人1泊当たり100〜500円を想定する。東日本大震災関連の国の交付金が2020年度末で縮小されるのが背景にあるという▼観光業者は不安を募らせる。震災で被災した沿岸部は一時3分の1に落ち込んだ宿泊客が回復基調に乗ったところ。「消費税が上がったばかりなのに宿泊客への説明が難しい」との声はもっともだ▼もくろみ通り地域が潤うならまだいい。先行して導入しているのは東京都や大阪府、京都市など5自治体で、観光の勝ち組ばかり。宮城に増税をはね返すだけのブランド力があるか、いささか心もとない▼宮城県の独自課税は「みやぎ発展税」「みやぎ環境税」に続き三つ目になる。宿泊税は地元客も支払わなければならない。新施策に取り組むのであれば、既存予算からひねり出すのが筋。吟味し尽くしたのか。住民に負担を強いることに慣れっこになっていないか。(2019.12.3)


2019年12月03日火曜日


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