河北春秋

 地名は地形や過去の災害に基づいて名付けられることが多い。地名研究家が現地で聞き取りをすると、由来が誤って伝えられ常識を覆すケースが見つかる。宮城県地名研究会の太宰幸子会長(76)=大崎市=は一例として「要害」を挙げる▼辞書には「地勢が険しく敵を防ぐのに便利な地」「とりで」と解説されているが、太宰さんらは1990年代以降、県内で要害の地名が残る125カ所を調査。ほとんどが川などの近くでわずかに高い場所にあることを確認したという▼要害は日本書紀にヌミと読みが記され、沼や川に面した地を指した。低湿地で稲作が広がった際、水の引きが早い場所に住まいを構え、水辺は敵に襲われても戦いやすいため、次第に「要害堅固」の意味に転じたと推理される▼「梅や桜などの字を使う地名にも要注意」と太宰さん。ウメは土砂崩れなどによって埋まったこと、サクラはクレなどの読みが変化し、崩れることを伝えるとされる。後世に印象の良い字を当てた可能性があり、一般的に奇麗な地名にはとげがあるそうだ▼昨年10月以降、台風19号の豪雨被害によって災害地名が再び注目される一方、地名研究家は高齢化や人手不足が悩みだという。先人の警告を地名から読み解いて伝える後継者の育成が急務だ。(2020.1.14) 


2020年01月14日火曜日


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