河北春秋

 「はつかり」と聞いて、特急列車を思い浮かべるのは昭和世代だろう。当初は常磐線、後に東北線経由で上野−青森を結んだ。東北新幹線開業後も盛岡以北で運行されたが、2002年に廃止となった▼漢字で書けば「初雁」。秋になって最初に北から渡ってきたガンを指す。日本にはマガンが最も多く飛来する。宮城県北部は最大の越冬地で、県の鳥にもなっている▼今季は昨年9月13日、伊豆沼・内沼(栗原市、登米市)で初めて確認された。例年よりやや早い程度で始まったが、今月7日現在は計約6万5000羽と、昨年の同じ時期の半数に激減した。暖冬で北帰行が大幅に早まったせいである▼マガンはシベリアなどで繁殖し、日本にやって来る。宮城県北は沼が凍りにくい地域の北限。冬を安全に過ごせる最適地だった。昨今の温暖化により本来は宮城に渡る際に立ち寄る中継地だった八郎潟(秋田県)や北海道美唄市の宮島沼で越冬する例も増えている▼「はつかり」の名は東北新幹線が新青森に延伸する際の新列車名の募集で1位だった。名称は「はやぶさ」に譲ったが、今も愛されている証拠。風物詩のマガンが東北に渡ってこなくなる可能性さえある。渡り鳥は環境に最も敏感な指標という。警告をしっかり受け止める必要がある。
(2020.2.14)


2020年02月14日金曜日


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