河北春秋

 いわき市の木材加工業「磐城高箸(いわきたかはし)」は地元産の杉を使った割り箸を製造・販売している。最低でも1膳50円。通常の50倍だ。東日本大震災の最大余震で生産設備が大破、原発事故の風評被害が広がる中、あえて高級路線に打って出た▼丸みを帯びた形と焼き印が美しく、販促品や記念品としての引き合いがある。昨年2月には廃校となった山間部の小学校校舎に工場を移転。レトロな雰囲気を生かし観光交流拠点としての活用も目指している▼割り箸を使わず外食時に箸を持参する「マイ箸ブーム」がかつてあった。割り箸は森林の維持に不可欠な間伐で出た木材が原料だ。資源の有効利用にほかならないのだが、使い捨ては全て資源の無駄遣い−という偏ったイメージが残る▼政府は7月、全国の小売店にレジ袋の有料化を義務づける。海洋プラスチックごみが地球規模の問題となる中、削減策をアピールする狙いがあるのだろうが、国内で流通するレジ袋はプラごみ全体の数%。素材のポリエチレンは石油精製で生じる副産物であり、それを活用している側面もある▼レジ袋をごみ袋などとして再利用する家庭は多いだろう。有料化でビニール袋をわざわざ買うことになりはしないか。不便な生活が環境に優しいとの考えは、必ずしも正しくはない。(2020.3.25)


2020年03月25日水曜日


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