河北春秋

 日本とイタリアは共通点が多い。海に囲まれた細長い地形で四季がある。そのためか、イタリアの作曲家ビバルディの『四季』は日本で人気が高い。「春」の第1楽章は鳥の歌、せせらぎの音を奏でる。曲調が変わる部分は雷鳴と稲妻。春の嵐を表す▼春の嵐といえば、ドイツ出身の文豪ヘッセに同名の小説がある。音楽を志す身体障害者の男性と友人のオペラ歌手、その妻となる美しい女性の生き方を通し幸福とは何かを問う。この場合、春は青春時代、嵐は恋愛や孤独の表現と解釈できようか▼きょうから4月。現実の世界を見渡せば、新型コロナウイルスという名の嵐が吹き荒れる。米国やイタリアなど世界で感染者や死者が急増し、耳を疑うニュースが連日報じられる▼東北各地でも感染が広がる。進学や就職で新しい環境に飛び込む方々も、希望に胸を膨らませるというより不安が大きい人が多いのではなかろうか▼ヘッセは『春の嵐』の中で、自分のことだけ考えていると孤独になるとして世界で起きていること、他人のことに関心を持つことの大切さを説く。「他人」という言葉を重症化しやすい高齢者らと置き換えてみてはどうだろう。若者も他人の命を守る行動が大事。今は自宅で音楽や読書などを楽しみながら嵐が過ぎ去るのを待とう。(2020.4.1)


2020年04月01日水曜日


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