河北春秋

 苦難の年を意味する英語の表現にローカスト・イヤーズがある。直訳すると、バッタの年。大昔からバッタによる農作物の被害が多かったためか、旧約聖書にはバッタの大群の襲来に関する記述がある▼出エジプト記によると、神が怒って人々を罰しようと、バッタの大群を送って作物を食い荒らさせたという。中国でも、蝗(こう)害つまりバッタの食害は、しばしば起きたといわれる。世界のあちらこちらでバッタの群れは厄介者らしい▼ことし、アフリカで大量のバッタが発生し、農作物に壊滅的な被害が出ている。特に被害が深刻なのはエチオピア、ケニア、ソマリアなどの東アフリカ。ケニアでは過去70年で最悪という広大な農地が、食害にあっているという▼新型コロナ感染症も広がりつつあり、殺虫剤を届けるのが難しく、また、散布する航空機の技術者らは簡単には現地に入れない。バッタの被害はインドやパキスタンでも発生し、既に小麦などに大きな被害が出ているという▼大群の渦に車もろとも巻き込まれ、羽音は重苦しく大気を震わせ、耳元を不気味なごう音−。昆虫学者前野浩太郎さんの『バッタを倒しにアフリカへ』にある壮絶な体験談だ。日本政府は無償資金や殺虫剤の提供を決めている。バッタ退治、何とかうまくいってほしい。(2020.6.24)


2020年06月24日水曜日


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