河北春秋

 全国区ではないが、地元でおなじみの歌が各地にある。山形県スポーツ県民歌「月山の雪」もその一つだ。<月山の雪 紅(くれない)そめて>の出だしに反応し、思わず口ずさむ「県人」もいるだろう▼明朗で力強い曲は福島市出身の作曲家古関裕而(1909〜89年)の作。1948(昭和23)年の日本陸上競技選手権大会の山形開催に合わせ誕生した。作詞は童謡「かなりや」などを生んだ西条八十(1892〜1970年)が手掛けた▼全国に名だたる霊峰月山(1984メートル)を冠した県民歌は、戦後復興期の気概とスポーツの素晴らしさを高らかに謳(うた)い上げる。<朗(ほが)らに明けゆく 新生日本(中略)今さきがけて 我(われ)ら起(た)つ…>▼52年に宮城、山形、福島3県で開かれた「みちのく国体」でも演奏された。1〜4番の末尾<ヒップ ヒップ フレー>はお尻ならぬ、英語の掛け声で「それ行け」「万歳」を意味する。山形県ではこの歌を懐かしみ、ラジオ番組へのリクエストが増えているという▼古関がモデルのNHK連続テレビ小説「エール」は、新型コロナウイルスの影響で29日、いったん中断される。スポーツ大会も中止、縮小が相次ぐ。<ヒップ ヒップ>と弾む古関メロディー。世代を超えて、いま見えない敵と懸命に闘う人たちに送るエールである。(2020.6.28)


2020年06月28日日曜日


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