河北春秋

 民芸運動の創始者柳宗悦によると、日本人は「奇数の美」を愛してきた。奇数の美とは不完全な美のことだという。割り切れない奥深さがあるらしい。代表例に茶器を挙げた▼数百年前、茶人は茶器の形のゆがみ、上薬のむらに美を見つけた。なぜ不完全な物が美しいのか。柳は、全てが決定された完全な物に人は不自由さを感じるとみる。人は自由な美を求める。だから不完全さに引かれるという(『茶と美』)▼最近、仙台市でも「奇数の美」が話題になる。といっても、こちらは奇数月に青葉区の商業施設アエルで開かれる催し「奇数アトリエ」のことである。画廊や作家でつくる実行委員会が地元作家に発表の場を提供しようと一昨年から開催。絵や工芸などを展示販売する▼会場は一般の買い物客が行き交う。「アートを遠い存在に思う人が多い。そんな方々とアートとの接点を日常空間の中でつくりたい」と実行委員長の黒須敦子さん(64)。毎回、気軽に足を止める人が多く、手応えを感じるという▼次回(24〜26日)のテーマは「ガラス&染織&アート」。会場を訪れたら、自分が美しいと直感した民芸品を集めた柳をまねてみてはいかがだろう。自分の直感でお気に入りの作品を探せば、今まで気付かなかった世界に出合えるかもしれない。(2020.7.7) 


2020年07月07日火曜日


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