河北春秋

 会津若松市では土蔵や木造の古い店が今も多く残る。国の登録有形文化財に答申された市内の漆器店「鈴木屋利兵衛」と調剤薬局「関善吉薬局」の建物はそれぞれ江戸時代末期、大正時代初期の建築。共に創業200年以上の老舗だ▼商売を代々継ぐことは容易ではない。少子高齢化、人口減少の時代はなおさらだ。帝国データバンクによると、東北の企業の休廃業・解散は昨年1850件を数え、倒産を大きく上回る▼会津若松商工会議所の調べでは、後継者がおらず、自らの代で廃業の意向を持つ会員は全約2600社の20%を占める。歴史ある城下町では創業100年以上の老舗が100社を超え、「事業承継が最重要課題だ」と商議所の担当者▼老舗の「鰻(うなぎ)のえびや」が今月、改装オープンした。店を継いだのは4代目の長男(49)。創業180年の人気店にもかかわらず倒産寸前だと知り、会社員を辞めて、東京からUターンした。決め手は周囲の助けだった▼商議所や地元信組が相談に乗り、東北の民間ファンド「ダッチャファンド」が出資した。仙台市の老舗うなぎ店が協力し、接客やメニューを見直した。会津には無尽の習慣がある。相互扶助こそ「第2の創業」の鍵だろう。21日は土用の丑(うし)の日。生まれ変わった老舗の味を堪能したい。(2020.7.19)


2020年07月19日日曜日


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