河北春秋

 海運や最上川の舟運により、山形県には上方や江戸の文化が持ち込まれた。おひなさまはその一つ。代々受け継がれてきたひな飾りを見に、観光客が訪れる。最大の船着き場だった大石田町も「ひいなの隠れ里」と紹介されたのを機に広く知られるようになった▼さまざまな恩恵をもたらし、「母なる川」と呼ばれる最上川が様相を変えた。28日の豪雨で大石田町などで氾濫したほか、流域の広範囲が浸水した。岩手、宮城、秋田、福島の各県でも浸水や土砂崩れ、交通機関の乱れなどの影響が出た。死者や行方不明者がいないのは不幸中の幸いか▼それにしても、うんざりするほど雨天や曇天が続く。平年より遅れている梅雨明けはもう少し先になりそう。日照不足も深刻で、仙台市は28日までの30日間で52.4時間と、平年の47%にとどまる▼長雨と日照不足は野菜の販売価格に跳ね返っている。特にジャガイモは、農林水産省の調査では平年の約1.5倍。「子どもの好きなカレーライス」と思いつつも、値段を見て商品に手を伸ばすのを一瞬ためらった人がいるのでは。水稲のいもち病も出始めており、出来秋が心配だ▼コロナ禍でマスクが欠かせないために、猛暑はこたえる。かといって、冷夏も困る。やはり、そこそこの夏が、ありがたい。(2020.7.30)


2020年07月30日木曜日


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