河北春秋

 「あまおう」に「女峰」「とちおとめ」「とよのか」など、イチゴの品種は実に多彩。品種間競争は年々激しさを増す。宮城県はオリジナル品種「もういっこ」や新品種「にこにこベリー」の知名度アップに力を入れる▼イチゴに比べて、消費者があまり品種を気にしないのがスイカ。赤肉系の大玉には、「祭ばやし」「祭ばやし777」「富士光」「縞(しま)無双」などがあるが、聞いてもピンと来ないのでは。むしろ、産地で選ぶ人の方が多いかもしれない▼その一つが「尾花沢スイカ」。尾花沢市だけでなく、隣接する村山市や山形県大石田町などで栽培されるスイカの総称だ。寒暖差の大きい盆地の気候を生かした糖度の高さが特長で、一大ブランドに育て上げた▼先月下旬の記録的な豪雨による農地の冠水などで、尾花沢スイカが大きな打撃を受けた。県内では、コメやトマト、メロン、枝豆なども被災し、被害はさらに増える見込み。丹精込めて育ててきた「わが子」の無残な姿を前にした、生産者の心中は察するに余りある▼コロナ禍で、東北の夏祭りは軒並み中止になり、夏休みも大幅に短縮された。スイカ割りのことを絵日記に描く子どもはいるのだろうか。「夏の風物詩」が例年よりも貴重に思える、短く、そして寂しい夏になりそうだ。(2020.8.4) 


2020年08月04日火曜日


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