河北春秋

 赤いふんどし、体に巻いた包帯…。そんな男と学生2人が裸で仙台市中心部を練り歩いたので、皆が驚いた。1964年秋。男らはパン屋に入ってこう叫んだとか。「仙台アンパン、バンザ〜イ!」▼『篦棒(べらぼう)な人々』(竹熊健太郎著)の中で、画家の故宮城輝夫さんが回想している。男は前衛芸術家の「ダダカン」こと糸井貫二さん。無審査の公募美術展「仙台アンデパンダン」でのパフォーマンスで、今も語り草になっている▼半世紀以上たった今、フランス語で「独立した人々」を意味するアンデバンダンの名前、精神を受け継ぐ無審査の公募展がある。「せんだい21アンデパンダン展」。仙台市内の現代美術系のギャラリーなど7会場で11日まで開いている。東日本大震災の翌年から始まり、今年で9回目▼コロナ禍で応募が減ることが懸念されたが、発表の場を求めて約180人が参加した。現代美術のそばに、陶芸や子どもの作品が飾られている。社会派の作品がある一方で、くすっと笑える展示がある。中には、糸井さんにオマージュをささげたような作品も。自由な公募展ならではの空間が楽しい▼昨年までは観客だった人が、今年は作家として出品するなど、初めて出品する参加者が目立つ。会場を巡れば、そんな新しい作家との出会いが待っている。(2020.10.5)


2020年10月05日月曜日


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