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夏祭りの意義 考えたい/熊沢由美(東北学院大経済学部共生社会経済学科教授)

 お祭りのない夏が来る。東北各地の夏祭りは、新型コロナウイルスの影響で次々と中止や無観客開催が決まった。6月27日朝刊1面では、東北の夏祭り中止による経済損失が1452億円という試算を伝えた。東北の域内総生産における運輸・郵便と宿泊・飲食サービスの生産額のうち、5.9%相当だという。人出は1568万人減と試算。東北の経済に対して、夏祭りの果たしてきた役割の大きさを改めて実感させられた。
 この分析をした七十七銀行グループの七十七リサーチ&コンサルティング(仙台市)の田口庸友首席エコノミストは、観光の本格的な回復はまだ先とした上で、「地元の良さ、資源を見直す機会と捉え、今後のビジネスチャンスにつなげられればいい」と強調している。
 筆者も、夏祭りの意義や大切さをじっくりと考えるタイミングであると感じている。お祭りのない夏だからこそ、それぞれの夏祭りの歴史や地元との関わり、人々の思いなど、夏祭りについて掘り下げ、読者に問題提起するような記事を読んでみたい。
  
 新型コロナウイルスの経済への影響は多大で、雇用の悪化や貧困問題の深刻化などは避けられそうにない。コロナ禍の社会的な影響や対策とともに、社会保障の動向に関する報道にも注目している。
 26日朝刊1面によると、安倍晋三首相は75歳以上の医療費負担を2割に引き上げる所得水準について、結論を年末に先送りすると表明。27日朝刊4面では、内閣府の調査によると、2019年に保育事故が1744件も起きていたことが伝えられ、驚いた。
 社会保障は私たちの生活に欠かせないものである。コロナ禍との直接的な関係が見られるものに限らず、社会保障関連の変化については丁寧に取材し、読者が十分に比較、検討できるよう手厚い情報提供をしてほしい。

 コロナ禍で徐々に働き方も変わっている。6月28日朝刊1面では、オンラインでの商談が東北で広がりつつあることを伝えた。25日朝刊社会面では、自宅などでテレワークをした人の約52%が、出勤時より長時間労働になったという連合のアンケートの結果を紹介した。同日社説でも書かれているように、テレワークが労使双方の利益になるよう環境を整えることが必要であろう。
 テレワーク一つとっても「新しい生活様式」が始まったばかりであることを実感させられる。「ウィズコロナ時代」の生活が少しでも良くなるよう多面的な視点から、現状や課題を伝え続けてほしい。
 7月3日朝刊娯楽面には、推定約50万人の視聴者がいたとされるサザンオールスターズの無観客配信ライブの記事が掲載された。これからもコロナ禍とエンターテインメントの関わりを伝える記事に注目したい。
 「新しい生活様式」で今後、暮らしはどう変わっていくのだろうか。問題意識を持った報道に期待している。


2020年07月15日水曜日


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