紙面センサー

油流出 問題意識持って/赤間広志(宮城海区漁業調整委員会委員)

 11日朝刊みやぎ面に、9月に予定していた全国豊かな海づくり大会の開催見送りを、宮城県が正式表明した記事が載った。同大会は全国植樹祭や国民体育大会、国民文化祭と並び、天皇、皇后両陛下が、ご臨席する四大行幸啓である。
 東日本大震災の被災地への復興支援に対する感謝を示す機会でもあった。見出しの「見送り」という言葉が気になり、辞典で調べてみた。「何か事情があって次の機会を待つ」とあった。
 1年後に新型コロナウイルスの感染が収束しているかは誰も分からない。悩ましい問題だが、今後の宮城県での開催の動向も丁寧に取材してほしい。
 先月の紙面センサーで取り上げた「北東北 原木滞留 林業ピンチ」(6月14日朝刊1面)の記事が、行政を動かしたようだ。4日朝刊経済面に「滞留原木 6割超出荷へ 青森県 輸送費3分の2補助」が載った。行政の迅速な対応に驚いた。林業は青森県の重要な地場産業であり、地域の危機と捉えたのであろう。しかし、危機が去ったわけではない。引き続き、取材し、新聞の力を発揮して林業を支えてほしい。

 今月に入り、山形県飯豊町のリチウムイオン電池研究拠点「山形大xEV飯豊研究センター」を巡る問題が14日から、朝刊3面で連日取り上げられ、関心を持って読んだ。4年前にセンターの施設が完成した。しかも、山形銀行も参加し、いわゆる産学官金の連携組織が構築され、地方創生策の飯豊電池バレー構想に注目してきた。
 14日は「山形大 実質的撤退か」、15日は「地元に不安の声も」、16日は「町議会 バレー構想不安視」という見出しだった。17日には山形大の玉手英利学長がバレー構想を今後も推進したい旨を強調する記事が載り、連日、一喜一憂しながら読んだ。
 厳しい財政の中から、飯豊町が30億円超を投資する地域再生計画が水泡に帰さないためにも、問題を糊塗(こと)することなく解決してほしい。山形大工学部は世界に特色ある最先端技術を発信している。大学が主導権を発揮し、リードすることを期待する。記者はバレー構想を頓挫させないためにも、使命感を持って取材してほしい。

 塩釜の海で相次いでいる油流出事故に不安を覚えている。2019年1月20日、仙台塩釜港仙台港区(仙台市宮城野区)に停泊中のコンテナ貨物船から燃料用重油が漏れ出す事故が発生し、宮城県七ケ浜町などのノリ養殖に多大な被害を与えた苦い記憶がある。今月17、20日にも塩釜市魚市場付近の海で油流出事故が発生したが、朝刊みやぎ面でベタ記事だった。
 私が知る限り仙台塩釜港塩釜港区内で今年に入って油流出事故が5件も起きている。幸い、海藻養殖のオフシーズンで被害はないが、松島湾内では種カキの採苗時期であり、看過できない。ましてや今月は海の月間で海洋汚染防止の啓発期間でもある。油流出事故をベタ記事ではなく、問題意識を持って大きく取り上げてほしい。


2020年07月31日金曜日


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