紙面センサー

豪雨被災地 報道続けて/熊沢由美(東北学院大経済学部共生社会経済学科教授)

 7月27日の朝は「今日の河北新報は(紙が)白い」と、多くの人が思ったのではないか。紙齢(通算発行数)4万4444号を記念した特別仕様だという。創刊から123年6カ月、明治、大正、昭和、平成、令和と、新聞が発行され続けてきた歴史を改めて感じさせる数字と内容であった。
 中でも、同日朝刊3面での東北大名誉教授の平川新氏の文章が目を引いた。河北新報社創業者の一力健治郎氏は、戊辰戦争で敗北した屈辱を胸に刻みながら、明治に青春期を過ごしたという。
 その上で「『河北』という言葉は、単に『白河以北』という地域を指すのではなく、東北の誇りを取り戻し、東北を再生させるための、強い矜持(きょうじ)と希望を込めた思想の言葉だと言ってよい」という文章が印象的であった。今後も東北の強い矜持と希望が感じられる紙面作りを望んでいる。

 白い紙には、写真も映えて見えた。朝刊アングル面に掲載された大崎耕土・居久根(いぐね)の動植物の写真群は、多様な動植物が共生する「小宇宙」を鮮やかに伝えた。朝刊3面では、26日に東京の空で観測された雲が虹色に染まる現象「環水平アーク」の写真を掲載したが、まさに「希望の虹」であるかのように思えた。
 朝刊1面に掲載された英国のリバプール湾の洋上風力発電施設の写真も印象的であった。これは秋田県沖の風力発電について伝えた記事の写真である。秋田は風力発電の先進県であり、巨大事業が着々と進められているという。
 風車メーカーのMHIベスタスの山田正人副社長は、秋田が日本の洋上風力発祥の地となり、技術やノウハウを蓄積し、全国へ展開したいという展望を述べている。節目にふさわしい、東北の強い矜持と希望が感じられた。

 7月28日から29日にかけて東北は大雨になった。秋田、山形県では記録的な豪雨を観測し、最上川や雄物川支流が氾濫して浸水被害をもたらした。紙面では被害状況や避難所の様子、復興状況、支援などについて克明に伝えた。
 31日朝刊社会面では、山形県大石田町の配電盤が最上川などの水位上昇で水に漬かってショートし、水中ポンプによる排水ができなくなっていたことを明らかにした。配電盤の位置を巡る町と国の見解が分かれているという。一日も早い復興を願いつつ、今後の豪雨の教訓のためにも、豪雨の被災地のその後について粘り強く報道してほしい。
 8月6日朝刊ワイド東北面では、山形県内の浸水地域で災害ボランティアの募集を地元や県内在住者に限定しているという。新型コロナウイルスの影響を感じ、被害に遭われた方々や対応に奮闘している方々の健康を案じている。
 本稿が載る15日は75回目の終戦記念日である。6日の「広島原爆の日」には、広島市が被爆体験伝承者の養成に力を入れていることなどが、朝刊社会面で伝えられた。平和や命の大切さをじっくりと考えさせる記事を期待している。


2020年08月15日土曜日


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