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東北経済の実情 今後も/赤間広志(宮城海区漁業調整委員会委員)

 14日朝刊みやぎ面の「知ろう 伝えよう みやぎ 先人の足跡」で、ノリ養殖を東北で初めて成功した気仙沼市の猪狩新兵衛(1810〜77年)の人生の軌跡が紹介された。ノリ養殖に着手した偉人の功績や人間性、苦労を巧みに浮き彫りにし、読み応えがあった。
 養殖ノリは宮城県の特産品としての地位を固めた。今は仙台湾が主産地となり、全国有数の生産量を誇る。猪狩の功績に思いをはせ、ノリ養殖を振り返るまたとない機会となった。

 同日夕刊2面の「記者ログ」の「偉大なミニ国家」を興味深く読んだ。リヒテンシュタイン公国は国土の面積は香川県の小豆島と同じで、人口は約3万8000人のミニ国家。だが、平均年収は1200万円と高水準だという。
 私のような団塊の世代は、高度経済成長のさなかを「成長の先に果実がある」と、無我夢中で働いた。少子高齢化が進む中、いまだにわが国は旧態依然の拡大路線を信奉している。新型コロナウイルスの感染拡大で経済成長が鈍化している今は、経済の在り方を見つめ直し、リヒテンシュタイン公国に学ぶ時なのかもしれない。
 15日朝刊1面に「一力八段 新碁聖 七大タイトル宮城初」の見出しが躍った。仙台市出身の一力遼さん(23)の快挙は、コロナ禍で暗いニュースが多い中、読者に希望と感動を与えてくれた。これからの活躍も伝えてほしい。
 同日は戦後75年の終戦記念日だった。朝刊社説「教訓を学び現代に生かそう」の中で、「民意とのずれに気付かない指導者、議論を軽んじる政策決定」というくだりがあった。その傾向は年々、強まっており、筆者からの警世と受け止めた。戦争へと突き進んだ過去の反省を忘れず平和を維持する報道を常に心掛けてほしい。

 17日夕刊1面で4〜6月期の「GDP年27.8%減 戦後最悪マイナス成長」の記事が掲載された。4〜6月の国内の経済活動が停滞していることは、既に多くの国民が分かっている。もう少し早く内閣府は国民に発表することはできないのだろうか。コロナ禍で不況の深刻さが増し、多くの中小企業が存亡の危機に直面している。今後も東北の経済の実情をつまびらかに伝えてほしい。
 扱いは大きくなかったが、22日朝刊ワイド東北面の「出羽三山周辺 風力発電計画」の記事に驚いた。鶴岡市の皆川治市長が「事業区域が山岳信仰の聖地に近く、重大な懸念」と述べている。26日朝刊ワイド東北面では、山形県の吉村美栄子知事も不快感を示している記事が載った。私も同感である。観光地としても重要拠点であり、引き続き取材してほしい。
 23日朝刊1面のトップ記事「石炭火力 転換点に」が印象に残った。地球温暖化対策の国際的枠組みであるパリ協定が1月から本格的に始動している中、やっと政府が休廃止の検討を本格化するという。国際的に尊敬されるためにも日本が協定を率先して実行することを望む。メディアは政府の対応を厳しくチェックしてほしい。


2020年08月31日月曜日


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