社説

福島第2原発の存廃/政治主導で廃炉の道筋示せ

 原発事故で古里を追われた被災者はもどかしさを通り越して、怒りに近い感情を抱いているのではないだろうか。東京電力福島第1原発事故から7年がすぎても、第2原発(福島県富岡町、楢葉町)の廃炉が決まらないからだ。
 「復興の障害になる」と福島県の行政や議会がたびたび廃炉を迫ってきたのに、今もって実現していない。
 仮に東電が再稼働を目指しても、地元の同意を得られるわけがない。再開の見通しがゼロなのだから、廃炉しか選択肢はあり得ないだろう。
 東電が存廃の判断をずるずると引き延ばすのであれば、国が廃炉を決断すべきだ。原発事故に対する国の責任を考えれば、当然の対応になる。国は実質的に東電の筆頭株主になっているのだから、なおさら責任は重い。
 第2原発は第1原発の南約12キロにある。1〜4号機とも東日本大震災で津波を受けたが、外部電源が使用できたために原子炉の冷却が可能になり、事故を免れることができた。それ以来、稼働しないまま今日に至っている。
 第1原発の事故で放射性物質に汚染された福島県は、ことあるごとに第2原発の早期廃炉を求めてきた。内堀雅雄知事は何度も東電や国に廃炉を直接求めているし、福島県議会も意見書を可決した。先月17日には立地町の楢葉で「県民大集会」も開かれた。
 廃炉の要請に対して東電の経営陣は「重く受け止める」などと意味のない答えを繰り返してきた。「第1原発の廃炉作業のバックアップ機能」を挙げることもあるが、原発の後方支援を原発に負わせるという、県民生活をないがしろにしたような回答ではとても納得できないだろう。
 国や東電は、稼働しない原発なら大して害はないと思っているのかもしれないが、それは大間違い。一昨年11月に福島県沖で起きたマグニチュード(M)7.4の地震では、第2原発3号機の使用済み核燃料プールの冷却が一時停止し、大きな不安を与えた。
 第2原発は復興の足かせであるとともに、事故を引き起こしかねない現実の脅威になっている。
 原発の存廃は電力会社の経営に重大な影響を与える。原発事故後、経済産業省は国内の全原発を廃炉にした場合の影響を試算したが、東電など4社は債務超過に転落するという結果だった。原発設備やウラン燃料の資産価値がなくなるためだ。
 東電の経営に影響を及ぼしかねないとしても、原発事故が福島県に与えた被害の大きさを考えれば、廃炉が当たり前ではないか。7年間もあいまいなままにしているのは不誠実極まりない。
 今後4〜9年で訪れる「運転開始から40年」を待って判断するという観測もあるが、企業の身勝手な考えにすぎず、福島県民を無視し続けることにほかならない。


2018年04月08日日曜日


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