社説

自民の参院選改革/「お手盛り」批判は免れない

 その場しのぎの改革案は、都合のいい「お手盛り」の内容だ。もはや開き直りの党利党略としか映らない。
 自民党は参院選の「1票の格差」是正に向けて、選挙区で「鳥取・島根」「徳島・高知」の合区を継続しつつ、比例代表と合わせ定数を6増やす公選法改正案をまとめた。総務会で了承され、今国会に提出する方針だ。
 選挙区の定数は、議員1人当たりの有権者数が最も多い埼玉選挙区で2増やす。前回参院選(2016年)で3.08倍だった1票の格差は3倍以内に収まる見通しとなる。
 比例代表の定数は4増やし、一部に限りあらかじめ定めた順位に従って当選者を決める拘束名簿式の「特定枠」を導入する。有権者にとって分かりにくい制度は、露骨とも言える議席確保策だ。
 参院の選挙制度を巡っては、格差が最大4.77倍だった13年参院選などを最高裁が「違憲状態」と判断。これを受け、16年参院選から鳥取、島根両県と徳島、高知両県をそれぞれ1選挙区とする合区が導入された。
 19年の参院選では、合区対象の4県全てで自民現職が改選を迎える。選挙区に擁立できない県の候補を特定枠に登載し、救済の「指定席」を保証する狙いにほかならない。
 まやかしの改革は、国会が国民に約束したはずの抜本的見直しとは程遠い。
 合区を導入した改正公選法の付則には、19年参院選へ「選挙制度の抜本的見直しについて必ず結論を得る」と明記された。最高裁が16年参院選での格差3.08を「合憲」と判断したのは、この立法府の姿勢を評価したからだ。ところが、各党間の協議は前進しないまま時が過ぎた。
 自民党は「憲法改正による合区解消」を主張し、改憲4項目の一つに掲げたものの、同調する政党はなかった。各党の主張は、合区維持や全国10前後のブロック制導入などばらばらのままだ。
 来夏の参院選までの改憲による合区解消は「間に合わない」(党幹部)として、あっさりと断念した格好だ。
 代わりに打ち出したのが自党に有利な弥縫(びほう)策では、国民の理解は得られまい。
 党内には「森友、加計問題で結論を出せずに来ている中、こういうことには結論を出す。国民にどう映るか心配だ。なめてはいけない」(小泉進次郎筆頭副幹事長)との異論もくすぶる。
 野党は「訳の分からない自民のご都合案」(枝野幸男立憲民主党代表)などと反発を強める。与野党調整は難航するとみられ、会期延長が検討されている終盤国会の対決法案になる可能性がある。
 参院選は約1年後に迫る。自民が数の力を振りかざせば、選挙制度のゆがみを助長するだけではないか。自民案の問題点を浮き彫りにしながら、与野党が改革論議に真摯(しんし)に取り組むべきだ。


2018年06月14日木曜日


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