社説

夏の甲子園閉幕/選手を守る改革を進めたい

 第100回を迎えた全国高校野球選手権は、大阪桐蔭(北大阪)が史上初となる2度目の春夏連覇を果たし、閉幕した。東北初の大旗を目指した金足農(秋田)の戦いぶりも、大きな注目を集めた。
 大会は高校生の部活動を越え、地域挙げての応援など、全国的なイベントとして定着するまでになった。ただ、次のステップへ向け、選手の健康を守る改革が不可欠なことも明らかになった。
 記録的猛暑だった今大会、高野連は熱中症対策として、試合中でも大会本部の判断で給水タイムなどが取れるようになり、理学療法士が、観客席最前列でグラウンドの選手の様子をチェックした。応援団や観客向けにも、アルプススタンドに散水機を用意し、球場内外に大型扇風機やミスト扇風機を設置した。
 それでも、試合中に足がつる選手が続出。交代を余儀なくされるなどし、戦況を大きく左右することがあった。
 新たな試合方式も始まった。今季から、延長十二回終了後も同点の場合、走者を置いた状況から互いに攻め合う「タイブレーク方式」を甲子園でも導入。夏の大会で初めて実施された。
 タイブレークは2014年、日本高野連が全加盟校対象にアンケートを実施し、選手の健康管理上の方策として提示された選択肢の中で、半数近くが賛成したものだ。ほかの選択肢には投手の「投球数制限」「投球回数制限」もあったが、賛成はどちらも1割台にとどまった。複数投手の育成を迫られることになり、有力選手を集められる私立校がますます有利になる、などの声もあったという。
 タイブレーク導入で、「延長十五回で決着が付かず再試合」ということはなくなるが、レアケース。投球数や回数制限のように全試合に通用するわけではない。
 金足農の吉田輝星(こうせい)投手は甲子園6試合で881球を投じた。特に、3回戦から決勝まで、1日の休養日を挟んだものの、5日間で4試合というのはやはり過酷だ。決勝は疲労が明らかで、途中降板した。
 過去には、甲子園での投げすぎで故障し、投手生命を絶たれた選手の例もある。
 地方大会も含めて、最も暑い時間を避けての試合実施や、大会終盤の余裕を持った日程編成など、運営面も見直す形での改革は避けられないのではないか。
 投球数、回数制限も正面から議論する必要があり、指導者には複数投手育成の努力が求められるだろう。
 今大会、総入場者数は初めて100万人を超え、「炎天下での全力プレーが高校野球の魅力」というファンは多い。ただ、心から応援できるのも、選手が万全の体調で悔いを残さずにプレーできてこそ。大きな事故が起こってからでは遅い。変革にはさまざまな課題もあるが、関係者の早急な対応を期待したい。


2018年08月23日木曜日


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