社説

子どもの暑さ対策/学校にエアコン設置を急げ

 夏休みが終わり、小中学校に子どもたちが戻った。今年は記録的な暑さが続き、全国で熱中症とみられる被害が相次いだ。8月も終わりとあって東北の暑さはだいぶ落ち着いたが、子どもの暑さ対策には万全を期したい。
 熱中症とみられる死者は26日までに全国で155人に上り、約8万9300人が病院に搬送されている。愛知県豊田市では7月、校外学習からエアコンのない教室に戻った小学1年生の男児が熱中症で死亡するなど、子どもの被害も目立っている。
 気象庁が「災害級」の危険な暑さと表現したほどだ。熱中症対策としてエアコンの積極的な活用が必要だが、教室にエアコンが設置されている学校は多くはない。
 文部科学省によると、東北6県の小中学校では、普通教室のエアコン設置率が福島で65.1%と最も高く、全国平均49.6%を超える。他は山形17.4%、宮城4.1%、青森2.9%、秋田1.8%、岩手1.1%と低率だ。全国的には東京都が設置率99.9%と極めて高く、地域間の格差が大きい。
 同じ県内でも、宮城県の場合、色麻町や東松島市などが高率なのに対し、富谷市や岩沼市、塩釜市などは0%、仙台市が1.6%など、市町村で開きがあり、不公平感は拭えない。子どもの健康と命を守ることを考えれば、財政事情だけで片付けていい問題ではないだろう。
 設置率が低い自治体からは遅れている理由として、校舎の耐震化などへの予算の重点配分が挙がっている。「夏に暑いのは当たり前」という認識の自治体もあるという。
 猛暑は、台風のような物理的な破壊を伴うわけではないが、気象庁が指摘するように災害と捉えるべきだろう。政府や自治体は熱中症への注意喚起だけでなく、部活動なども含め子どもへの対策を真剣に検討する必要がある。
 文科省は猛暑で教室にエアコン設置を求める声が高まったのを受け、2019年度予算の概算要求にエアコン設置など公立学校の施設整備費として2414億円を盛り込む方針を決めた。本年度の予算額681億円と比べて3.5倍の大幅増となる。
 小中学校のエアコン整備については、国の「学校施設環境改善交付金」で設置費用の3分の1が補助される。文科省はエアコン設置を推進はするが、補助割合はそのままで上げる予定はないという。
 仙台市の郡和子市長は今月の定例記者会見で、市立小中学校へのエアコン設置は市民の要望が多いとした一方、市内全ての普通教室などに設置した場合、約100億円かかるとの見通しを示した。
 個々の自治体の努力に期待するだけでは財政的に限界もある。国が責任を持って補助率を上げるなどして、全国の学校にエアコンの整備を進めるべきではないか。


2018年08月30日木曜日


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