社説

奥羽新幹線/仙山ルート 選択肢の一つに

 山形県が旗振り役となって進める奥羽新幹線(福島−秋田間)の早期実現運動で、有識者から新たなルート案が示され、山形市など村山地域で関心が高まりつつある。
 福島−仙台間を東北新幹線との共用区間とみなし、仙台−山形間の仙山線区間を単線の新幹線として整備。1時間に1、2往復のシャトル型で運行し、山形−秋田間につなぐというアイデアだ。
 これまで一般には福島から米沢を経て山形、秋田に至る奥羽線に沿ったルートがイメージされてきたが、1973年に基本計画決定されたのは、あくまで「福島市を起点に山形市付近を経由し、秋田市を終点」とする経路だ。
 生活圏として一体化が進む仙台、山形両市の間では交通需要も急速に高まっており、単線といえども所要時間20分以内で行き来できる「仙山新幹線」の実現は、まさに時代の要請と言っていい。
 仙山ルート案が浮上したのは7月、山形、上山、天童の3市や経済団体などの関係者でつくる「山形圏域奥羽新幹線整備実現同盟会」の本年度総会。内閣官房参与で京大大学院工学研究科の藤井聡教授が行った講演「奥羽新幹線のフル規格整備を通した山形再生プラン」がきっかけだった。
 山形県などが求める奥羽新幹線の整備計画への格上げについて、藤井氏は「財務省は『山形はミニ新幹線がある。まだ何もない四国や山陰に比べ優先順位は低い』と言って簡単には認めない」と指摘。そうした声に対抗するためにも「仙山ルートは、ミニ新幹線とは別な話」と主張すべきだと提案した。
 さらに奥羽線ルートに比べ工事費が大幅に圧縮され、実現可能性が飛躍的に高まると強調したほか、並行在来線の維持に向けた地元負担の軽減など、山形県に幅広いメリットがあることを説明した。
 藤井氏によると、米沢経由での福島−山形間の整備延長は90〜100キロだが、仙山線区間なら約60キロで、予算はこれだけで3分の2になる。さらに「仙山新幹線」は単線で済むため、通常のフル規格新幹線に比べ3分の1程度、事業費を節減できるという。
 一方、奥羽線ルートでフル規格新幹線が実現すれば、沿線自治体は、並行在来線となる奥羽線の維持負担に苦しむことになるのは明らかだ。
 仙山ルートを採用し、ミニ新幹線方式の山形新幹線をそのまま温存することができれば、少なくとも山形以南では奥羽線の並行在来線問題を回避できる。
 整備計画への格上げを巡っては、山陰が北陸新幹線との一部共用案を打ち出すなど、各地がより安価で合理的な整備手法の提案を競うようになっている。
 山形県も仙山ルートに関する議論を全県に広げ、有望な選択肢の一つとして、早急に運動に組み入れていく必要がありそうだ。


2018年09月03日月曜日


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